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カルシウム・マグネシウム等(硬度)

◆概要
 硬度(総硬度)は、水中のカルシウムイオンおよびマグネシウムイオンの含有量を炭酸カルシウムの量に換算して表したものです。この値が大きいと硬水、小さいと軟水と呼ばれています。
 硬度が高いと口に残るような味がし、湯沸かし器などにスケールの付着が起こったり、石鹸の泡立ちが悪くなったりします。このような障害を防止するため、水質基準値では硬度が300mg/L以下と定めらています。また、水質管理目標設定項目では味の観点から目標値は10〜100mg/Lとされ、一般的には50mg/L前後の硬度が多くの人に好まれるといわれています。
 また、この項目は、水道施設の維持管理上重要な項目でもあります。カルシウム塩による硬度は、排水管などの腐食と関係があり、軟水では腐食性が大きく、硬水では金属表面に炭酸カルシウムの保護皮膜を形成するため腐食性が小さくなります。このようなことから、浄水処理に炭酸カルシウムを使用している事業体もあります。
 硬度には、他にも一時硬度と永久硬度という区分があります。一時硬度とは、炭酸塩(炭酸カルシウムと炭酸マグネシウム)の濃度のことで、煮沸すると沈殿するため「一時」といいます。固形物になって沈殿したカルシウムやマグネシウムは硬度成分ではなくなり、その結果水の硬度は下がります。一方、永久硬度は、硫酸塩(硫酸カルシウムと硫酸マグネシウム)や塩化物(塩化カルシウムと塩化マグネシウム)の濃度のことで、煮沸しても取り除けないため「永久」といいます。
 
◆測定方法
 滴定法、フレーム原子吸光法、ICP発光分光分析法、ICP質量分析法、イオンクロマトグラフ法により測定できます。
 
※スケール:水中のカルシウムやマグネシウムなどが析出したもの




こらぼ2023年春号より抜粋
CRC食品環境衛生研究所