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飲料水の細菌数を把握する一般細菌

◆一般細菌の概要
 一般細菌は水道水中の細菌数を把握する指標とされ、標準寒天培地を用いて36±1℃で24±2時間培養したとき、1mLの検水で形成される集落数が100以下であることと規定されています。微生物学的には、好気性細菌および通性嫌気性従属栄養細菌で、この検査法によって検出される細菌すべてを指しているのであり、特定の細菌やグループを指したものではありません。一般細菌は十分に塩素消毒された水道水では検出されることは少ないですが、塩素注入量の不足や汚染水の混入により、増加することがあります。
 
◆検査の意義と結果の評価
 一般細菌は糞尿、雑排水の他、河川、地下水、土壌、食品、さらには空気中にまで広く存在します。一般細菌が平常時よりも著しく増加した場合には、何らかの汚染あるいは病原生物混入の可能性を示唆しています。一般細菌には大腸菌よりも高い塩素抵抗性を持つものがあり、また糞便以外の汚染の時も鋭敏に反応することが多いため、汚染指標としての感度は大腸菌よりも高いといえます。
 飲料水中に一般細菌が検出される原因としては、水道水の場合、汚水・異物などの混入やタンクの清掃不足、容量過大による残留塩素の消失などが考えられます。しかし、採水の方法や蛇口の汚れ、浄水器の活性炭に増殖した細菌による場合もあるので、原因を突き止めるには設備の維持管理状況や残留塩素濃度、大腸菌、有機物など他項目の結果や過去の検査結果などを総合的に考える必要があります。
 井戸水の場合は汚水混入や消毒設備の故障、降雨などによる変動などが原因としてあげられます。長く使用されていなかった井戸や新しく井戸を掘削した場合も一般細菌が高く検出されることが多く、その場合は、しばらく水を流すことで改善される可能性があります。
  
◆健康影響
 一般細菌として検出される細菌の多くは、直接病原菌との関連はありません。また、水質基準項目としての一般細菌は水道水の細菌汚染の一般的な指標として用いられ、必ずしも病原性を示唆するものではありません。
 
浄水方法
 塩素滅菌、煮沸、浄水器(中空糸膜)があります。
 




こらぼ2022年夏号より抜粋
CRC食品環境衛生研究所