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水の硬度と料理の関係
 日本では一般的に硬度が100以上の水を硬水、100未満の水を軟水と呼んでいます。硬度は水の味に影響を与え、硬度が高いと口に残るような味になり、硬度が低いと淡白な味になります。欧米では、大陸で河川の長さが日本より長いため、水道水に炭酸カルシウムや炭酸マグネシウムなどが大量に溶け込んで「硬水」が多くなり、日本では河川の長さも短いため、おおむね「軟水」で本来は飲用に適したおいしい水と言われています。

 料理について言うと、日本でよく使われる和風だしは硬度0〜30くらいの軟水が適しています。

 昆布や鰹節のうま味成分を軟水が引き出すからです。反対に硬水では昆布に含まれるたんぱく質と結合してうま味がアクとなってしまいます。ご飯を炊くにも硬度70ぐらいまでの軟水が適しており、硬水で炊くとパサパサになってしまいます。肉を煮込んだり、肉からだしを取る場合は硬度200〜300の硬水が適しています。肉を硬くするたんぱく質と結びつき、アクとなって出るため肉は柔らかくなり、アクを取れば濁りのないだしが取れます。

 このように硬度を利用すれば、コーヒーや緑茶なども色々な味を感じることができます。コーヒーに軟水を使うと苦みや香りが立ち、硬水を使うと苦みを抑えた味になります。緑茶の場合、軟水を使えばまろやかな味になり、硬水を使うと渋みが少なく色の薄い緑茶となります。

 このように昔からその土地の水に合った料理が受け継がれています。

 今では硬水も手に入りやすくなっているので、硬水を使って料理してみると同じ料理でもまた違った味に出合えるのではないでしょうか。




こらぼ2012年冬号より抜粋