TOP > 気になる「水」「食」「大気」のはなし > 水のカビ臭  
水のカビ臭
 夏になり、気温が上昇してくると水道水からカビ臭がするという苦情が増えることがあります。ただし、このカビ臭についての原因はカビそのものではなく、水道水源であるダム、湖沼、貯水池、及び河川等で繁殖する藻類等が産生する物質が原因です。

 藍藻類の中でも問題となる種類は、Pholmi-dium(フォルミディウム)、Anabena(アナベナ)等が知られており、これらが増殖すると、ジェオスミンと2-MIB(2-メチルイソボルネオール)が産生されます。また土壌菌類の一種である放線菌類の異常増殖によっても産生されます。

 ジェオスミンと2-MIBの臭気閾値は0.00001mg/L程度と言われており、非常に低濃度で臭気を感じるようになります。

 ジェオスミンと2-MIBは同じカビ臭に分類されていますが、多少臭いにも違いがあり、ジェオスミンは特にカビ臭や土臭が強く、2-MIBは墨汁臭という表現がよくされます。

 根本的な原因は水道原水の汚濁が激しいことで、特に人口密集地で水源が湖などの場合はカビ臭が発生する可能性が高くなります。

 カビ臭を予防するものとして、薬剤により植物性プランクトンの増殖を未然に抑制する方法がしばしば行われます。人畜に無害で魚介類に与える被害ができるだけ少なく、しかも安価な薬剤が適しています。主に硫酸銅、塩素、塩化銅などがあげられますが、貯水池等の閉鎖水域では硫酸銅が使用されることが多いようです。

 一度発生してしまったカビ臭を除去するには、生物化学的浄化機能を利用した緩速ろ過や、塩素やオゾンによる酸化分解、活性炭に吸着させて除去する方法があります。




こらぼ2010年夏号より抜粋