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食物アレルゲン
 食物アレルギーとは、食物を摂取したときに身体が食物を異物として認識し、防衛の為に過剰な反応を起こすことです。

 食物アレルギーの主な症状は、「肌がかゆくなる」「咳がでる」「じんましんがでる」などですが、症状は多岐にわたり、場合によってはアナフィラキシーショックを発生し、命に関わることもあります。

 日本人の1〜2%は何らかの食物アレルギーを持っていると考えられており、とくに乳児においては約10%がアレルギーを持っているとされています。

 食物アレルギーの原因として最も多いのが鶏卵で、乳、小麦がその後に続きます。食物アレルギーは、人によってその原因となる食物が異なり、摂取量についても少量で発症する人もいれば多量に摂取することで発症する人もいます。また、個人においても、その日の体調や行動によって反応が変わることがありますし、食後すぐに反応することもあれば、食後に運動をすることで反応を起こすものもあります。

 食後に症状が現れても食物アレルギーと断定することはできません。食品の中にはさまざまな物質が含まれており、そうした物質に対する反応が原因で、似たような症状を起こすこともあります。

 食物アレルギーを避けるため原因となりそうな食品を除くことは、栄養面での悪影響を及ぼす恐れがあります。安易に判断することなく、原因食品が特定できない場合は専門医の診断を受け、正確な症状を把握することをお勧めします。

 さて、食物アレルギーを防ぐために最も重要なことは、原因となる食物を食べないことです。そのため国は食物アレルギーの原因となる食品の調査を行い、平成13年より発症件数が多い物や発症した際の症状が重い物質について、食品に使用した場合の表示を食品衛生法により義務付けました。現在は7品目について「特定原材料」として必ず食品のパッケージにアレルギーの原因となる食品の名称を表示しなければなりません。それ以外の20品目についても「特定原材料に準ずるもの」として食品に使用した場合は、できるだけ食品のパッケージにこれらの名称を表示するよう努めることとされています。

 また、アレルギー症状を持った人が食品を選択しやすいように、原因食品の含まれていない食品について、その旨を表記することもあります。

 こうした食品に対し、その食品に食物アレルゲンが入っていないかを確認するためにスクリーニング検査があります。例えば原材料に小麦が使用されていない食品の場合でも、同じ工場の別のラインで小麦を使用していた場合、それが混入する場合があります。そのため、スクリーニング検査を行うことで、そうした混入が起こっていないかを確認することができます。

 平成25年6月には食品表示法が成立し、2年以内に施行されます。食品表示についてはアレルギー物質以外にも、遺伝子組み換えや添加物などさまざまな情報が増えており、新法ではそれらの表示がよりわかりやすく表示されることになると思われます。

 食物アレルギーについて正しく理解し、食品表示を正しく読み取ることで安全な食生活を送りましょう。
 ※1「 えび・かに」については甲殻類由来タンパクを検出する試験となります。「えび・かに」と他の甲殻類との区別は付きません。
 ※2「 カシューナッツ、ごま」は、2013年9年20日に消費者庁より、表示を推奨する品目に追加するよう通知されました。
 
 

出典:平成24年度食品表示に関する試験検査
「即時型食物アレルギーによる健康被害、及びアレルギー物質を含む食品に関する試験検査」より作成


こらぼ2014年秋号より抜粋