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漬物の衛生規範が改正されました
 昨年8月に札幌市等で発生した浅漬による腸管出血性大腸菌O157食中毒事例は、調査の結果、製造工程での衛生管理上の問題点が確認されました。従って、同様の食中毒の再発を防止するため、10月12日に厚生労働省より「漬物の衛生規範」(昭和56年9月24日付け環食第214号)が改正されました。
 ◎主な追加内容(表1)
 ◎検査基準(表2)
 
製品は、ロットごとに行うことが望ましいとされており、次の要件に適合するものでなければならない。
 ◎施設・設備の管理(表3)
 
 pH4.5以上の製品を製造する製造場所内の非汚染作業区域は、落下細菌数(生菌数)100個以下であることが望ましい。なお、pH4.5以上の製品を製造する製造場所内の清潔作業区域は、落下真菌数(カビ及び酵母の生菌数)10個以下、落下細菌数50個以下であることが望ましい。(一部省略)
 
表1
 
1. 浅漬の原材料は、低温(10度以下)で保管すること。
2. 浅漬の製造に当たっては、次のことに留意すること。
(1) 各工程において、微生物による汚染、異物の混入がないよう取扱うこと。
(2) 原材料は飲用適の水を用い、流水で十分洗浄すること。
(3) 半製品の保管及び漬け込みの際は、低温(10度以下)で管理し、確認した温度を記録すること。
(4) 次のいずれかにより殺菌を行うこと。
ア.

次亜塩素酸ナトリウム溶液(100mg/Lで10分間又は200mg/Lで5分間)又はこれと同等の効果を有する次亜塩素酸水等で殺菌した後、飲用適の流水で十分すすぎ洗いする。塩素濃度の管理を徹底し、確認を行った時間、塩素濃度及び実施した措置等を記録すること。

イ.

75度で1分間加熱する。温度管理を徹底し、確認を行った時間、温度及び実施した措置等を記録すること。

(5) 漬込み液(漬床を除く)はその都度交換し、漬込みに用いた器具・容器の洗浄、消毒を行うこと。

表2
 
1. カビ及び産膜酵母(※1)が発生していないこと。
2. 異物が混入していないこと。
3. 容器包装に充てん後加熱殺菌したものにあっては、以下の要件に適合するものでなければならない。
ア. カビが陰性であること。
イ. 酵母は、検体1gにつき1000個以下であること。
4. 浅漬(※2)は、次の要件に適合するものであること。
ア. 大腸菌が陰性であること。
イ. 腸炎ビブリオが陰性であること。
※1: シロカビともいい、好塩性で好気性の酵母で表面に膜状に繁殖する
※2: 一夜漬ともいい、生鮮野菜等(湯通しを経た程度のものを含む)を食塩やしょう油などを主原料とする漬床で短時日漬け込んだもので、低温管理を必要とするもの

表3
 



汚染作業区域
製造場所のうち、原材料の保管設備、一次前処理場所及び下漬塩蔵場所をいう
非汚染作業区域
製造場所のうち、二次前処理場所、調味加工場所、熟成場所、包装場所、加熱殺菌場所及び製品の保管場所をいう

1.準清潔作業区域
非汚染作業区域のうち、二次前処理場、加熱殺菌場及び製品の保管場をいう

2.清潔作業区域
非汚染作業区域のうち、調味加工場、熟成場及び包装場をいう




こらぼ2013年春号より抜粋