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放射能汚染された食品の取り扱いについて
 

このたびの東日本大震災により被害に遭われた皆様には、心よりお見舞い申し上げます。また、一日も早い復旧復興をお祈り致します。

 この震災と津波により、福島第一原子力発電所が被害に遭い、放射能漏れによる不安な日々が続いています。そこで今回は放射能に汚染された食品の取り扱いについて紹介します。

 平成23年3月11日、内閣総理大臣による原子力緊急事態宣言が出されました。その中で、飲食に起因する衛生上の危害発生を防止し、国民の健康の保護を図ることを目的とする食品衛生上の観点から、当分の間、原子力安全委員会により示された指標値を暫定規制値とし、これを上回る食品については、食品衛生法第6条第2号に当たるものとして、食用に使われることがないようにという通達が厚生労働省より出されました。その後、規制値の対象となっていなかった魚介類中の放射性ヨウ素については、当分の間、飲料水及び牛乳・乳製品以外の食品として、暫定規制値が設定されている野菜類中の放射性ヨウ素と同一の暫定規制値である2000Bq/kgを適用することになりました。

 また、スーパーなどの飲料水が品薄となる事態となりましたが、水道水が暫定規制値を超過した場合の水道の対応については
 1.規制値を超えるものは飲用を控えること
 2.生活用水としての利用には問題がないこと
 3.代替となる飲用水がない場合には、飲用しても差し支えないこと
となっています。しかし、食品衛生法に基づく暫定規制値には、放射性ヨウ素が100Bq/kgを超えるものは、乳児用調製粉乳及び直接飲用に使われる乳に使用しないこととあります。

 なお、放射性ヨウ素100Bq/kgという数値は、長期にわたり摂取した場合の健康影響を考慮して設定されており、代替となる飲用水が確保できない場合には、摂取しても差し支えはありません。非常事態の時にこそ適切な対応が必要となります。国や地方自治体による情報の確認を行い、冷静な対処を心掛けましょう。

表. 飲食物摂取制限に関する指標
核種 原子力施設等の防災対策に係る指針における
摂取制限に関する指標値(Bq/kg)
 放射性ヨウ素
  混合核種の代表核種:131I
 飲料水 300
 牛乳・乳製品
 野菜(根菜、芋類を除く)、魚介類 2000
 放射性セシウム  飲料水 200
 牛乳・乳製品
 野菜類 500
 穀類
 肉・卵・魚・その他
 ウラン  乳幼児用食品 20
 飲料水
 牛乳・乳製品
 野菜類 100
 穀類
 肉・卵・魚・その他
 プルトニウム及び超ウラン元素のアルファ核種
  238Pu,239Pu,240Pu,241Am,242Cm,243Cm,244Cm,放射能濃度の合計
 乳幼児用食品 1
 飲料水
 牛乳・乳製品
 野菜類 10
 穀類
 肉・卵・魚・その他
※100Bq/kgを超えるものは、乳児用調製粉乳及び直接飲用に供する乳に使用しないよう指導すること

放射能・放射線の単位について
■ベクレル(Bq)
 食品に付いていたり水などに入っていたりする放射性物質が、放射線を出す能力を表す単位。
■シーベルト(Sv)
 放射線を受けた時の人体への影響を表す単位のこと。


こらぼ2011年夏号より抜粋