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フグの食中毒について
 鍋のおいしい季節になってきました。フグ鍋もその1つ。しかし、フグによる食中毒は毎年ニュースで報道されています。フグの毒について簡単に触れます。

 フグの毒はテトロドトキシンと呼ばれ毒力が大変強く、青酸カリの約1000倍、致死量は0.5〜2mgと言われています。フグは種類や漁獲海域によっても毒力が異なります。標準的なトラフグ1匹分の毒で、約10人分の致死量になります。また、肝臓や卵巣に毒が多いことは良く知られていますが、種類によっては皮や精巣、筋肉に毒があるものもあります。フグの毒は熱に大変強く、調理程度の加熱では毒力は落ちません。

 フグの毒は神経を麻痺させる作用があり、有毒部位を食べると20分〜3時間後に口や指先のしびれが始まり、やがて麻痺が全身におよび、致死量の毒を摂取していた場合には、呼吸困難により死亡します。フグを食べた後にこのような症状が現れたら早急に医師の診察を受けましょう。現在、フグ毒の作用を止めるワクチンや血清、解毒剤などはありません。

 ところで、フグによる食中毒の予防ですが、フグを食べるときは、フグ処理営業許可証が掲示してある飲食店等を選びましょう。このようなお店は、専門的な知識と技能を修得したフグ処理資格者が種類を鑑別したり、毒のある部位を的確に取り除いて調理が行われますので、安心して食べることができます。正しい知識と情報でおいしくフグをいただきましょう。




こらぼ2010年冬号より抜粋