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手洗いが危ない
 冬季には、ノロウイルスやインフルエンザなどウイルス性の疾患が増えてきます。感染予防として、うがいと手洗いが大切となります。

 弊社では、飲食店やスーパーの食品関係施設の衛生状態をチェックするため、施設でのふきとり検査を実施しています。最近、手指のふき取り検査で黄色ブドウ球菌が検出される人が増えてきています。

 黄色ブドウ球菌は食中毒を起こす細菌で、化膿した傷、おでき、 にきび等に生息し、手指を介して食品を汚染します。この菌が食べ物の中で増殖する時に、エンテロトキシンという毒素を作り、これが食中毒を起こします。

 エンテロトキシンという毒素は、100℃30分の加熱でも分解されません。潜伏時間は、約30分から6時間で、吐き気やおう吐、腹痛が主な症状です。

 なぜ、手指のふきとり検査で黄色ブドウ球菌の検出が増えたかと言うと、洗剤や消毒液の強すぎ、爪ブラシのこすり過ぎ、アルコール製剤の使い過ぎといった原因で、手荒れの人が増えた結果ではないかと思われます。

 洗浄力が強いと手の皮脂まで落としてしまいます。その上に消毒液を使用すると皮膚を保護する常在細菌叢そうまでも殺してしまい、手荒れが進行します。つまり、洗剤や消毒液が強すぎて、手指が悲鳴をあげ始めているのです。

 自分の大切な手を守るために、手にやさしい洗剤や消毒液を使ってください。また、健康な手指を維持するため、手のスキンケアが非常に大事です。ハンドクリームなどでお手入れをしてください。



こらぼ2007年冬号より抜粋