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冬に生カキを食べたら、食中毒を起こしてしまいました。寒い時期なのに食中毒って起こるのですか?
 ノロウイルスは、人の腸内でしか増殖せず、食品中では増えません。

 なぜ、生ガキを食べた時に食中毒を起こすかというと、人のお腹で増殖したウイルスがトイレで排出され、下水道、浄化槽を経て、河川経由で海域に出てきて、カキの餌のプランクトンと一緒に、取り込まれ、カキの中腸腺に蓄積されます。そのカキなどの2枚貝を喫食(生食)して、感染することがあります。

 生食用カキのリスクは、採取海域によって決まります。新鮮さは関係ありません。後背地に人口が多い海域は、流れ込むウイルス量が多くなります。また、水温が低下する寒い時期は、カキのウイルスをはき出す力が弱まり、中腸腺にウイルスが残っている事が多くなります。生食する際には、採取海域の表示及び食べる時期に注意してください。

 もうひとつの汚染ルートは、調理従事者の手指からです。ノロウイルス患者の糞便、吐物には大量のウイルスが存在します。感染力が非常に強く、塩素、酸、アルコール、加熱に強く消毒液では防げませんし、症状が消えた後も、しばらくウイルスを排出します。そのため、トイレットペーパーを通して手指を汚染し、不十分な手洗で食品を汚染します。

 トイレ後の手洗いは、特に指先3本(人指し指、中指、薬指)を念入りに石けんで洗ってください。正しい手洗いは、インフルエンザや風邪の予防にも効果的です。

 潜伏時間は24〜48時間で、下痢、吐き気、腹痛、発熱(38℃以下)が主症状です。通常3日以内で回復します。



こらぼ2005年秋号より抜粋