CRCグループTOP > シー・アール・シー > よくある検査のご質問 >

質問
 副甲状腺ホルモン(PTH)の各種測定法の違いを教えて下さい。  

回答
 PTHは分泌された後、速やかに分解されるため、血中には分解されていない全長PTHに加え、N端、C端、中間部など種々のPTHの断片が存在しています。PTHの測定法はこれらのどれを検出しているかによって分けられます。
 
 PTH-C端は、全長PTHとC端を含むPTH断片を測定する方法で、現在は使用されていません。
 
 高感度PTHは、全長PTHと中間部を含むPTH断片を測定する方法で、PTH-C端に比べて高感度なためこの名が付けられました。
 
 インタクトPTHは、全長PTHのみを測定し、最も高感度な測定方法です。ただし、不安定なためすぐに分解されてしまうので、採血後直ちに遠心してEDTA血漿を分離するなどの注意が不可欠です。
 
 最近、腎不全患者の血中には、一部が欠損したPTHが存在し、PTHを阻害することが分かりました。そこで生物活性のある全長PTHのみを測定する新しい方法がホールPTHです。
 
 一般的に、原発性副甲状腺機能亢進症および副甲状腺機能低下症(原発性か偽性かの診断)にはインタクトPTHを測定します。
 
表.いろいろな副甲状腺ホルモン(PTH)検査
検査項目名 インタクトPTH ホールPTH 高感度PTH PTH-C端
腎機能の影響 少し受ける
(偽低値)
受けない
受ける
(偽高値)
受ける
(偽高値)
保存による影響 受ける 受ける 少ない 少ない
測定感度
(pg/mL)
1 1 100 200〜300
検査の使い分け 低/高Ca血症の鑑別、副甲状腺機能をみる 腎透析患者のPTH分泌能 腎機能正常者でインタクトPTHが測定できない場合に使用 最も古いPTH測定法、現在では使用されていない