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質問
梅毒検査の半定量法と定量法の違いを教えてください。

 半定量法は用手法で行う倍数希釈法で、定量法は分析装置を用いた自動化法です。半定量法は抗体価が希釈倍数で表されるため、2倍以内の変動を捉えることができません。定量法では検査結果が連続した数字で表され、小さな抗体価の変動を捉えることができます。
 
 また、半定量法ではRPR法が先に陽転化し、遅れてTP抗体が陽性化します。定量法のTP抗体はIgM抗体も拾うため、RPRと同時期か先に陽転化します。半定量法ではRPR陰性TP抗体陽性は、治療によりRPRが陰性化した陳旧性梅毒が考えられましたが、定量法では感染初期の梅毒の可能性も考慮する必要があります。
 
 治療効果判定は、RPR法とTP抗体の同時測定をおおむね4週ごとに行い、RPR陽性早期梅毒の場合、その値が治療直前より半定量法では1/4、定量法では1/2で治癒と判定されます。半定量法でフォローすると、定量法なら順調に低下しているケースにおいて、一見低下がみられないか、倍加したようにみえる場合があり注意が必要になります。
 
 また、梅毒の届出基準で無症状病原体保有者のRPRが16倍相当以上と記載されていますが、定量法では16R.U.以上になります。(図1)
 
 現在、TP抗体が早期に陽転化することや連続数値で細かくフォローできることから定量法が推奨されています。

 
〈参考〉
・石地尚興:Medical Technology48(3)、2020
・性感染症 診断・治療ガイドライン2020