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質問
腸管内にどのような腸内細菌がいるのか細菌培養検査で調べてもらえますか?

 近年の技術進歩により、腸内細菌叢(腸内フローラともよばれる)の機能解明が飛躍的に進展しており注目されています。
 
 ヒトの腸管、主に大腸には約1000種類、100兆個にもおよぶ腸内細菌が生息しています。細菌を調べる検査となるため、培養検査で行うと思われがちですが、腸内細菌叢を培養法で調べることは極めて困難です。また、「腸内細菌」というと細菌検査分野では「腸内細菌科:Enterobacteriaceae」と混同されることがしばしばあります。「腸内細菌科」は細菌の分類学上の名称であり、大腸菌や肺炎桿菌、サルモネラ菌など多くの菌が含まれています。
 
 しかし、実際には腸内細菌科に属する菌の糞便中に占める割合は1%にも満たず、大半はバクテロイデス属やユーバクテリウム属などの偏性嫌気性菌を中心とした細菌で占められています。そういった理由から、培養法では腸内細菌叢の全体構造の網羅的な解析には十分ではないため、現在では次世代シーケンサーを用いたメタゲノム解析技術が用いられています。
 
 日本でも次世代シーケンサーを用いた腸内細菌叢の解析をサービス提供するベンチャー企業が現れています。今後、腸内細菌叢と動脈硬化性疾患、大腸がんなどさまざまな疾患との関係が明らかにされていくことが期待されています。
 
次世代シーケンサーとは?
 生命の設計図はDNAに刻まれています。DNAを構成する塩基の結合順を表したものが塩基配列であり、現在、その塩基配列を高速かつ大量に解読する技術が生命科学の研究分野で利用されています。この高速かつ大量の塩基配列を解読する装置のことを「次世代シーケンサー」と呼びます。
 
〈参考〉
・モダンメディア 66巻5号2020[腸内細菌叢]
・e-ヘルスネット厚生労働省生活習慣病予防のための健康情報サイト