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質問
CA19-9値が施設間でデータが乖離します。原因は何ですか?

 CA19-9は、膵臓がん、胆管がん、胆嚢がんで80〜90%、胃がん、大腸がんで30〜50%の陽性率を示し、消化器系癌の腫瘍マーカーとして広く使用されています。
 
 CA19-9は、AFP、CEAのように単一分子と異なり、分子量の違う複数の巨大な糖蛋白分子です。低・中・高の分子量にどれだけ反応するかは、測定試薬で異なるため、測定値乖離の大きな原因となっています。
 
 CA19-9の測定試薬は、化学発光法が主流になっていますが、測定試薬によって低分子量抗原と高分子量抗原の反応速度に差があり要因の一つと推測されています。
 
 健常人の分子サイズは通常低分子ですが、がん患者では高分子、良性疾患では低分子と高分子が混在していると報告されています。
 
 また、患者検体中にHAMA(Human Anti Mouse Antibody)が存在している場合、偽高値になることがあります。各測定試薬メーカーでHAMAの影響を回避するように努力がなされていますが、完全にはなくなっていません。それ以外にも使用しているモノクローナル抗体の違いも要因の一つと報告されています。
 
〈参考〉
・長田誠.他;Medical Technology vol.46 No.6