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質問
 ABO血液型の検査結果が判定保留になっていますが何が考えられますか?

回答
 ABO血液型は、赤血球膜上のA抗原・B抗原を検査するオモテ検査と、血漿(血清)中の抗A・抗Bを検査するウラ検査を行い血液型が一致したときに、初めて血液型を判定することができます。よって、オモテ検査とウラ検査が判定不一致の場合は判定保留となります。
 
 また、異常反応(弱い凝集、部分凝集、異常な凝集)でも判定保留となります。判定不一致や異常反応の原因は様々です。異常反応が認められた場合は、患者情報入手(年齢、性別、疾患名、病状、輸血歴、妊娠歴、異型輸血や異型造血幹細胞移植の有無、検査データ、家族歴など)や必要に応じてABO血液型亜型検査の精査が必要です。

表.異常反応の原因
検査 異常反応 考えられる成因または病態

オモテ検査
(赤血球上のA抗原、B抗原検査)

反応がない、弱い 亜型
疾患による一時的な抗原量の低下
型物質の異常増加による試薬中の抗体中和
部分凝集 亜型
キメラ、モザイク
異型輸血後
異型造血幹細胞移植後
胎児母体間輸血症候群
異常な凝集 汎凝集反応
後天性B
寒冷凝集素による感作

ウラ検査
(血漿中の抗A、抗Bの検査)

反応がない、弱い 新生児、高齢者
低・無γグロブリン血症
異型輸血後
異型造血幹細胞移植後
異常な反応 亜型
冷式不規則抗体
寒冷凝集素
連銭形成
高分子製剤輸注後
試薬に含まれる添加物に反応する抗体
【参考】
・輸血・移植検査技術教本、(一社)日本臨床衛生検査技師会