CRCグループTOP > シー・アール・シー > よくある検査のご質問 >
血中亜鉛はどんな時に測定しますか?

 

 亜鉛はヒトに必須のミネラルです。生体内では鉄に次いで多く、骨、筋肉、皮膚、毛髪、肝臓、味蕾、精巣などに多く含まれています。生体内での役割は300種類以上の酵素の活性に不可欠で、不足すると味覚異常、皮膚炎、脱毛、貧血、口内炎、下痢、男性性機能障害、易感染性(免疫低下)、骨粗鬆症などの多様な症状を引き起こします。
 
 さらに、肝硬変、糖尿病、慢性炎症性腸疾患、慢性腎臓病患者の多くで亜鉛欠乏症が指摘されています。また、キレート作用のある薬剤の長期服用でも亜鉛欠乏をきたすことが報告されています。
 
 近年、高齢者や慢性疾患の増加、薬剤(特に多剤服用)、食生活の変化などで亜鉛欠乏症が増加しています。
 
 血清亜鉛値は主に亜鉛欠乏症の診断に検査されます。また、亜鉛欠乏症の発症前には亜鉛酵素であるアルカリホスファターゼ(ALP)が低値となることから、亜鉛欠乏または潜在性亜鉛欠乏を疑い検査します。
 
 血清亜鉛値は日内変動が著しく、午前から午後にかけて徐々に低下し、手術などのストレスでも大きく低下することがあります。空腹で上昇、食後2〜3時間後に約20%低下するため、採取条件に注意します。血液中の亜鉛の約80%は赤血球、約20%が血清中、約3%は血小板や白血球に存在することから、溶血血清では高値となります。また、室温で全血放置した場合は赤血球からの放出により、2時間後に約20%程度上昇します。採血の際は通常のゴム栓は亜鉛を含むため、専用の採血管を使用します。

表.血清亜鉛値が異常となる疾患・病態
高値 甲状腺機能亢進症、溶血性貧血、赤血球増多症、ウィルソン病
サプリメント過剰摂取
薬剤: クエン酸、ビタミンC、利尿剤(アミロライド)等
低値 ダイエット、菜食主義、高齢者、点滴・中心静脈栄養、経腸栄養
肝硬変、肝臓癌、クローン病、潰瘍性大腸炎、悪性貧血、鉄欠乏性貧血
再生不良性貧血、糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、維持透析療法
下痢を伴う消化管疾患、妊娠、未熟児・新生児
薬剤: アルコール、降圧剤、利尿剤(フロセミド)、抗うつ薬、抗生物質
精神安定剤・睡眠薬、肝疾患治療薬、鎮痛剤、痛風治療薬
高脂血症治療薬、抗てんかん薬、抗がん剤、抗アレルギー剤等
 参考
・臨床検査データブック 2017-2018、医学書院
・亜鉛欠乏症の診療指針2016