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百日咳の検査にはいろいろありますが、使い分けを教えてください。

 

 百日咳は、百日咳菌によって引き起こされる急性呼吸器感染症で、感染力が強く、咳による飛沫で感染します。潜伏期は通常5〜10日、かぜ様症状で始まりますが、次第に咳が著しくなり、百日咳特有の咳が出始めます。ワクチン未接種者もしくは未完了の乳幼児では重症化しやすく危険です。

 現行ワクチンの免疫持続期間は6〜12年とされ、近年では乳幼児期に接種したワクチンの効果が減弱した成人の感染が増え、百日咳患者の半数を占めています。成人の場合、咳は長期間続きますが、比較的軽い症状で経過することが多いために放置されやすく、乳幼児へと感染を広げてしまうことが問題となっています。

 検査には細菌培養同定検査、遺伝子検査、血清学的検査が保険適用となっています。
 
【細菌培養同定検査】

 咽頭粘液や後鼻腔粘液などを検体とし培養同定します。特異性に優れていますが、感度は乳児患者でも50%以下と低く、発病から2週間を超えると検出率はさらに低下し、百日咳菌に対する抗菌薬治療が行われている場合やワクチン既接種者、成人患者では菌量が少なく、菌分離は困難となります。

【遺伝子検査】

 LAMP法は後鼻腔拭い液を検体としDNAを増幅させる方法で、感度・特異性の高い検査法で早期診断に有用です。発病して4週間以内であれば、特に百日咳菌に有効な抗菌薬を処方されていない限り、LAMP法はほぼ陽性となります。しかし、発病して4週間を超えると気道の菌量が減るため、LAMP法でも検出できないことが多くなります。

【血清学的検査】

 百日咳抗体検査(EIA法)は百日咳菌が産生する毒素PTとFHAに対するIgG抗体を測定します。
 PT-IgG抗体は発病後2週間から上昇し、3〜4週間後には100EU/mLを超えることが報告されています。
 → 百日咳抗体のPT抗体とFHA抗体の違いと意義をおしえてください。
 
 2016年に保険収載された百日咳IgM抗体およびIgA抗体検査はともにワクチン接種の影響を受けないことから、単血清での診断が可能とされ、それぞれ発病から2週間、3週間でピークとなります。
 
 小児は発病後4週間以内に受診することが多く、成人は発病後4週間を超えてから受診することが多いことから、小児ではLAMP法、成人では百日咳抗体検査を行い、より正確に診断するためにはこれらを併用することが望ましいとされます。


  参考
・小児呼吸器感染症診療ガイドライン2017
・百日咳の検査診断 IASR 38、2017年2月