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ウイルス遺伝子検査の採血後の保存条件を教えてください。

 臨床検査で実施されている遺伝子検査には感染症の原因となるウイルスや細菌等の病原体(HCV、HBV、HIV、結核菌、クラミジア、淋菌等)の核酸(DNAまたはRNA)を検出・解析する病原体核酸検査があります。特に、ウイルスを検出する検査においてはウイルスの培養が困難であったり、培養に長時間を要したりすることから、病原体遺伝子検査が広く実施されています。なかでもHBV、HCV、HIVの核酸検査は臨床的に有用性が高く、献血血液の安全性確保の目的でも利用されています。これらのウイルスは血液媒介性であることから、検査材料には血液を採取し、遠心分離後の血清または血漿を用います。

 血液中には様々なプロテアーゼ、ヌクレアーゼが存在し、また血液細胞による影響を受けるため、保存温度と時間によって対象ウイルスの核酸の分解・劣化などが生じ、測定結果に影響を及ぼします。

 よって、採血後室温放置した場合、HCVおよびHIVでは6時間以内、HBVでは24時間以内に血清または血漿に分離することが推奨されています。高温下で放置した場合は再採血が必要になります。

 血漿検体は抗凝固剤にEDTAを使用します。ヘパリンはPCR等核酸増幅反応を阻害することから使用できません。

 また、血漿検体ではウイルス粒子がフィブリン線維に絡まれて不均一な分布状態になり、正しい定量結果が得られない場合があります。血漿検体を用いる際はEDTA入り真空採血管(専用)で採血し、フィブリン析出を回避するため、採血後速やかに転倒混和し、十分な遠心条件で血漿分離を行うことが重要です 。

 分離後の血清・血漿は冷蔵(2〜8℃)で1週間程度保存できますが、長期間保存する際は凍結保存します。HBVは-20℃以下、HCVは-70℃以下に凍結することが望ましいとされます。

 さらに、保存容器としては核酸の吸着が最も少ないと考えられるポリプロピレン製の小型チューブが推奨されています。

  プロテアーゼ:蛋白質やポリペプチドの加水分解酵素
ヌクレアーゼ:核酸分解酵素

表.主なウイルス遺伝子検査の保存条件

検査項目 材料 採血〜遠心分離 遠心分離後の保存
HBV-DNA定量 血清
血漿(EDTA)
室温24時間以内
冷蔵24時間以内
冷蔵7日間
凍結(-20℃以下)1カ月
HCV-RNA定量 血清
血漿(EDTA)
室温6時間以内
冷蔵24時間以内
冷蔵7日間
凍結6週間
HIV-1 RNA定量 血漿(EDTA) 室温6時間以内
冷蔵24時間以内
室温1日、冷蔵6日間
凍結6週間

【参考】
・「遺伝子関連検査 検体品質管理マニュアル」 JCCLS遺伝子関連検査標準化専門委員会、平成23年
・TaqMan試薬添付文書