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質問
 男性更年期の検査は何をしますか?

回答
 女性では閉経による女性ホルモンの急速な低下によって不定愁訴を引き起こす女性更年期障害はよく知られています。一方、男性にも加齢に伴う男性ホルモンの低下によって精神的・身体的に様々な症状を呈することがあり、男性更年期障害といわれています。
 
 現在、日本泌尿器学会・日本Men's Health医学会では男性更年期障害を加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)と命名しています。
 
 LOH症候群の診断には、うつを中心とした精神疾患との鑑別に質問紙によるAMSスコアと性腺機能を評価するための内分泌学的検査を行います。
 
 主な男性ホルモンは精巣において産生されるテストステロンです。血中テストステロンは、SHBG結合型とアルブミン結合型および遊離型の3つに分画されます。このうちアルブミン結合型と遊離型は生物学的活性を有するテストステロン(BAT)といわれています。BAT測定は難しいため、血中における活性型テストステロンとして遊離テストステロンを測定します。総テストステロン値は加齢とともに低下傾向を示しますが、50歳以降ではほとんど変化がなく一定に推移するのに対し、遊離テストステロン値は加齢とともに有意に減少することから、LOH症候群の診断基準には遊離テストステロンが採用され、20歳代の平均値-2SDである8.5pg/mLを正常下限値としています。
 
 さらに20歳代の平均値(YAM)の70%値である11.8pg/mL未満までを男性ホルモン低下傾向群とし、治療の対象とされます。診断基準となる遊離テストステロンの測定は日内変動があるため、必ず午前中に採血します。
 
 また、性ホルモンは腫瘍・炎症などの器質的な疾患や加齢、薬物などによって様々な変動を受けるので、原発性性腺機能低下症と続発性機能低下症の鑑別のためLH、FSH、プロラクチンも測定します。
 
参考
加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)診療の手引き
日本泌尿器学会・日本Men’s Health医学会